前回の記事では、シルバージュエリーに施しているコーティング(メッキ)加工についてお話しさせていただきました。
今回はコーティングされたジュエリーが変色した場合のお手入れ方法をご紹介したいと思います。
そもそもなぜ変色してしまうのか? 銀や金が変色する理由
お手入れ方法をお伝えする前に、そもそもなぜジュエリーが変色してしまうのか、その理由をご説明したいと思います。
シルバーが変色する理由
シルバーの変色は硫化と呼ばれるもので、これは空気中のわずかな硫黄分に反応し硫化してしまうことが原因です。
硫黄を含む温泉でシルバーが真っ黒に変色したりする理由はこれです。
銀は18金にも割金として含まれているので、金のジュエリーが黒ずんできた場合は、含まれている銀が硫化していることが多いです。
18金が変色する理由
K18コーティングの18金とは、75%が金で、残り25%は割金と呼ばれる他の金属を混ぜてつくられている素材です。
変色の理由は、主にこの割金が原因であることが多いです。
まずは酸化。酸化は汗や皮脂によって、割金が反応して赤茶っぽくなる変色です。
次に塩化。これは割金に使われている銅が塩素に弱いため、塩素漂白剤などで化学反応がおこり黒ずみになる変色です。
塩化の黒ずみは除去しにくいので、塩素系の漂白剤を使用する際はジュエリーを外してくださいね。
真鍮が変色する理由
SAFONでは使用していませんが、アクセサリーによく使われる真鍮の変色についても説明します。
真鍮は銅と亜鉛の合金です。そのため、空気の触れると酸化銅とよばれる黒ずみができてきます。
そして、真鍮の場合はこの変色をそのまま放置していると緑青とよばれる錆が発生して、青緑色に変色してしまうのです。
(博物館とかに飾ってある昔の青銅器が青緑だったりするとか、すごーく古い十円玉に緑っぽいのがついているのがそうです)
緑青これは服や肌にもついてしまうので、注意が必要です。
K18コーティングは真鍮にしても、シルバー925へしても仕上がりは一見は違いがわかりません。
比重や質感はやはり違うので身につけたらわかることもあります。
ただ、お化粧をする時もベースの肌の調子によって、ファンデーションの仕上がりが違うように、(例えがわかりにくくてすみません)ベースとして貴金属とされている銀を素材として使うこは、ジュエリーとしての品質と価値が高まると信じています。
実際、コーティングが剥がれたり変色してもシルバージュエリーとしてそのまま使用することもできます。
できるだけ変色しないように!普段のお手入れ方法・保管方法について
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ようやくお手入れについてご紹介いたします。
前述したように、変色のおもな原因は空気・汗・水です。
ジュエリーを外したら柔らかい布で皮脂や水分を拭き取るだけでも、予防効果があります。
その際、コーティングが剥がれてしまうので、研磨剤入りの磨きクロスはNGです。
やわらかい布やジュエリー専用のセーム革がおすすめです。
毎回じゃなくてよいのですが、皮脂や汗を綺麗にしてくれるのでうすめた中性洗剤で洗うとさらに変色防止に効果的です。
また、保管の際にはなるべく空気に触れないように、
ケースや100円ショップなどに売っているチャック付きの小さいポリ袋にいれておくことをおすすめします。
K18コーティング(メッキ)が変色してしまった場合の除去方法
それでもやはり使用しているうちに変色は起こります。
SAFONのジュエリーはすべて変色防止の処理をしていますが、表面の質感に影響がでないような薄い処理なので、使用しているうち効果は薄くなってしまいます
私が個人的におすすめしている2つの方法をご紹介いたします。
お家にあるもので簡単に!アルミホイルと重曹を使ったお手入れ方法
アルミホイルと重曹を使う方法は、SNSやネットで紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。
やり方も簡単。耐熱容器に、クシャクシャにして広げたアルミホイル、そこに重曹(わたしは大さじ半分くらい、、とうか適当)とジュエリーを入れて、ジュエリーは浸るくらいまでお湯を入れるというもの。
どうやらこれが何かしらの科学反応を引き起こすらしく、しばらくおいた後に、水洗いすると硫化が消えてピカピカになっています。
注意点!
重曹が多すぎるのかお湯が熱すぎるのか、何が原因か不明ですがメッキそのものの色が薄くなってしまうことがあります。
わたしは何度かK18YGメッキのアイテムをK10YGのような薄い金色にしてしまったことがありました。
実際はそうならないよう、ちゃんとした分量があるのかもしれないのですが、この方法の時は時間をおきすぎず、サッと水洗いすることをおすすめします。
もともとコーティングしていない、地金系のジュエリーだとこのお手入れ方法は安心で簡単です。
また、その他の注意点としては、エメラルドやパール、トルコ石など熱湯NGな宝石もあるので注意が必要です。
ジュエリー専用のクリーナーを使ったお手入れ方法
次のご紹介する方法は専用のクリーナーを使ったお手入れ方法です。
私のおすすめはモリモトのG&S(ジーアンドエス)スプレー型ジュエリークリーナー。
個人的な感想なのですが、正直これさえあれば、他に何もいらないのでは!と思うほど便利で万能です。
実際知り合いには必ず薦めていますし、磨けない手持ちのジュエリーのケアはほぼこのスプレーを使っています。
使い方は簡単とても簡単。容器にジュエリーをいれてスプレーしたら、1-2分おいたあと水で洗うだけ。
変色が綺麗に除去されて、ピカピカになります。また、重曹とアルミホイルの時のように、メッキが薄くなったりもしません。( 薄くしちゃうのは、私だけかもしれません。)
このクリーナーは中性タイプなので、パールやサンゴ、オニキスなど通常メッキ処理ができないような多孔質の石にも使えます。(K18やロジウムコーティングは通常石留めをした状態で行います。)
また、シュワシュワとして泡で洗浄するので、細かい部分まできれいに汚れが除去できます。
このクリーナーはかなり有名なので、〝G&S クリーナー〟で検索すればamazonや楽天でも買えますし、ジュエリーショップにも置いてあることが多いので、気になった方はぜひ買ってみて欲しいです。
正直SAFONでも取扱いしたいです。
使い方は、instagramのこちらのリール動画でも載せていますので、ぜひご覧くださいね。
変色を除去して、購入時のような状態に戻すには再コーティング
以上、ご自宅でもできるケア方法をご紹介しましたが、最後は修理について簡単にご紹介します。
どんなに丁寧にケアしても、メッキは使用しているうちに剥がれたり薄くなってしまうので、ご自宅でのケアには限界があります。
その場合、再度修理などに出すことも1つの方法です。
有償にはなりますが、メッキを再コーティングするという方法です。また、同時に再研磨してキズ消しも行えば、買った当初のような状態に戻すこともできます。
上記のような修理方法は、地金だけのジュエリーや、天然石を爪留め・覆輪留めした上からメッキしているアイテムは可能ですが、接着留め(そもそもメッキに弱い石なので接着している)のデザインなどは難しい場合がございます。
修理に関しましては、まずはお気軽にご相談いただければと思います!
ジュエリーケアについては、購入頂いたジュエリーをできるだけ長く愛用してほしいという気持ちがあるので、長い説明となってしまいました。
シルバーや金が変色する理由やケア方法について理解していただき、お手持ちのジュエリーを長く綺麗に保てるように、お役にたてましたら幸いです。